建設業の採用難の実態とは?理由・採用を成功させるコツを解説

建設業の採用難の実態とは?理由・採用を成功させるコツを解説

東京オリンピック需要により、活況を呈している建設業界。しかし建設業界では採用難に陥っており、人手不足を解消できない企業があります。建設業界ではどのくらい採用が難しいのか、どうすれば採用難を克服できるのかについて解説します。

建設業における採用難の実態

東日本大震災の復興やオリンピックへの設備投資により建設業への需要は高まっています。建設業は多忙な業界と言えるでしょう。一方で建設業では深刻な採用難に悩まされています。どのような採用難になっているのか実態を紹介します。

建設業では若者離れが起こっている

建設業では若者離れが起こっていると言われています。国土交通省の「建設業及び建設工事従事者の現状」(2016年)によれば、55歳以上の就業率が33.9%であるのに対し、29歳以下の就業率は11.4%しかありません。また、若者の就業率は減少の一途をたどり、2006年に15%あった就業率は、2016年では11.4%まで低下しています。生産年齢人口が減少していく中で、建設業界は若者から魅力的でない業界と思われているわけです。

建設業ではどのくらい採用が難しいのか

建設業ではどのくらい採用が難しいのでしょうか?他の業種との違いを確認してみましょう。業種別の有効求人倍率で比較すると、建設業がいかに採用難に陥っているかが分かります。

2020年1月時点の有効求人倍率を見てみましょう。全業界の有効求人倍率は1.40であるのに対し、建設業の有効求人倍率は6.86です。有効求人倍率が1を超えると「売り手市場」になるので、企業は採用しづらくなると言われています。建設業の場合は6.86なので、採用に対して相当に苦労していることが理解できます。

なぜ建設業では採用難に陥っているのか

なぜ建設業では採用難に陥っているのでしょうか?採用難の原因を解説します。

従業員への負荷が大きくなっている

建設業で採用が難しい原因として「従業員への負荷が大きい」というものがあります。建設業では若者離れが起こっているので、元々、人手が足りていません。しかし2021年に延期となった東京オリンピックの建設需要から、人手不足にもかかわらず建設業界は忙しくなっています。仕事を請け負っても従業員1人で回しきれない程のボリュームです。そのため、従業員1人ひとりの負荷が大きくなっているのです。

建設業界は週休二日制を採用していない企業もあるので、所定労働時間も長い傾向があります。例えば国土交通省の「建設業及び建設工事従事者の現状」によれば、全産業の所定労働時間が1,609時間であるのに対し建設業では1,918時間となります。建設業界が週休二日制を採用していないために、全産業との大きなギャップが生じるのです。

人手不足の環境下で労働時間が長いとなると、従業員1人当たりの負荷は大きくなることが分かるでしょう。

建設業へのイメージが悪い

建設業で採用が難しい原因の2つ目は「建設業へのイメージが悪い」というものです。「3K」「収入が不安定」「休めない」「労働時間と賃金が見合わない」などの悪いイメージが建設業界にはついています。そのため、採用しようと思っても採用難になる企業が出てきてしまうのです。

建設業界の平均年収は低くありません。国税庁の「民間給与実態統計調査」(令和2年版)によれば、全産業の平均年収が436万円の中、建設業界の平均年収は491万円です。しかし労働時間が長いことを考えると、全産業より数十万円高い程度の年収では満足できない可能性があります。

建設業で採用を成功させるためのコツ

採用難に陥っている建設業界において、どうすれば採用を成功させることができるでしょうか?中途と新卒の2つに分けて、成功のコツを紹介します。

ベテランの有資格者を採用する

中途採用に成功するためには、ベテランの有資格者に焦点を置いて採用することがポイントです。

建設業界では国家資格の有資格者を求められることがあります。例えば管工事業では管工事施工管理技士の有資格者を事業所内に選任する必要があります。高齢化が進む建設業界では、有資格者が定年退職することもあるでしょう。有資格者がいないと建設業の許可をはく奪されることがあるので、社内では常に一定数の有資格者を確保しておく必要があります。

国家資格と言っても一級建築士のような高難易度ではないので、有資格の求職者はいます。そうはいっても20代・30代の求職者は採用の難易度が高いので、40代や50代のベテランの人材を中心に採用するのです。難易度が高い若手を除いて採用することで、採用が成功しやすくなるでしょう。

積極的な採用活動を行う

新卒採用に成功するコツは、積極的な採用活動を行うことです。『採用学』において経営学者の服部泰宏氏は、求職者は、採用担当者から類推される企業の文化・雰囲気に惹かれて企業へのエントリーを決断することが多いと述べています。ですから新卒採用においては、「当社はこんな企業」を強くアピールし、共感してくれる新卒者からのエントリーを呼び込む必要があります。

建設業界へのイメージにはネガティブなものもあります。だからこそ「当社の魅力」を求人広告や面接で訴えれば、新卒者から「意外とアリかもしれない」と思ってもらえます。つまり当社で働くメリットや働きがい、先輩社員のメッセージを具体的に伝えて好意的に受け取ってもらうのです。そして採用担当者は自社の文化・雰囲気を醸し出せるように新卒者と応対し、共感してくれる新卒者を内定受諾まで持ち込んでいくのです。

求人広告では「仕事の楽しさ」を訴えると共に「大変さ」も併せて伝えます。なぜなら、新卒者が抱いている建設業界への大変さは、具体的にどういうものかを知ってもらうためです。もう1つの理由は、採用時点でリアルな情報(RJP:現実的な職務予告)を提供しておかないと、採用のミスマッチが起こりやすくなるからです。また、リアルな情報を提供すると、入社後の高いコミットメントを引き起こせるメリットもあります。

まとめ

建設業界は採用難に陥っていて、人手不足が解消されません。記事では、採用難の実態と原因、そしてどうすれば採用を成功できるか?について解説してきました。採用のハードルが高い建設業界だからこそ、中途では高い年齢層の人材も狙い、また、積極的に採用活動を行っていく必要があるのです。

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